Vol.14 自由闊達のススメ

 自由闊達(じゆうかったつ)と言う言葉をご存知でしょうか。こだわりなく、のびのびとした様です。本来、人はこうあるべきと言えます。

 

 こだわりとは、つまり「居着く」事です。居着くと、頑固になり、柔軟性を失い、人から疎まれ、足元を掬われます。

 我々は、この心の居着きを最も警戒すべきです。美意識や軸が大切と先に述べましたが、何事も過ぎたるは及ばざるが如し。陰陽でもあります。

 

 そう、まさしく物事には必ず陰陽は付き物です。単純に良し悪しでは語れませんが、必ず両面が存在するのです。自由の対面は、「責任」です。

 

 一つ経営者にとって役立つ例え話をしましょう。

 戦国の武士は、一人の主に仕え続けるという常識は持っていませんでした。より良い待遇が提示されれば、こだわりなく寝返ったりする事は日常茶飯事でした。

 

 戦国武将の面々には、とても常人には真似できないような逸話も多く残っていますし、その功績も確かなものです。さぞ絶対的な主君で、暴君だったんだろうなと考える方もいるかもしれませんね。

 ですが、実際は部下である武士達の言動に目を光らせ、しっかりと評価して、きちんと働いてくれるように、自分を見捨てないでくれる様に、正しく功績を評価する事に腐心していたのです。

 

 江戸の侍が正規雇用のサラリーマンとすれば、戦国の武士は優秀だけど気難しいフリーランスです。そして、全国各地で引く手あまたの業種です。

 あなたの心が、居着けば、それはえこひいきに繋がります。部下を感情から出る好き嫌いで判断すると、そうなるのです。

 

 ここまで読んだあなたは、ああ、やっぱり自由気ままに振舞ってはダメなんだな。窮屈だな。と感じた事でしょう。しかし、敢えて言いますと、別に自由に振舞っても良いし、えこひいきしても良いのです。

 要は、その行いに対して帰ってくる「結果」をきちんと受け止めるか否かなのです。

 

 全ての人は、自由と責任の関係の上において、思うままに生きる権利があります。ですが、全ての言動には責任が発生します。自由を謳歌して、責任には、臭いものには蓋と言うわけにはいきません。

 

 因果応報。行いに対して、必ず結果は出る。それが良いものであろうと悪いものであろうとです。

 えこひいきの力は、使いこなせば大きな武器です。自由と責任の「中庸」立ち、両面を正しく見つめる事が重要です。

 

 自由闊達の秘訣は「中庸」です。

 武士道の思想は、すべて繋がっています。

 これも一つの「和」と言えます。