武士道とはどんなものなのか。それを知るためには、まず武士とは何かを知る必要があります。我々が想像するイメージは、ちょんまげで和服を着ている、そんなサムライのイメージでしょう。そもそも武士と侍の違いはどこにあるのでしょうか。
侍の語源は「さぶらう」からきています。日本語に詳しい方はご存知かもしれませんね。現代的に解釈すると、ガードマンが周囲を警戒する様が「さぶらう」です。つまり、その昔(奈良時代まで遡る)要人の警護をしていた役職が「さぶらう」者であり、時代の変遷と共に、「侍(サムライ)」と呼ぶようになったのです。
それでは、武士はどうでしょうか。読んで字のごとく武に生きる者です。現在でも士業と言って、特定の職業に就く方々(弁護士や税理士など)は、その特殊技能を頼みに生計を立てています。専門性が高く、誇り高い職業の様なイメージがあります。
武士は、まさしく武に秀でた者を指します。その為、実際には特定の主君に仕官していない浪人であっても、または町人であっても、武に秀でてさえすれば武士と言えますね。
つまり武士道とは、武に秀で、武に生きる者にとっての理想的な在り方を示す道と言えます。
さて、皆様は武士道に対してどの様な知識をお持ちでしょうか。またはどの様なイメージをお持ちでしょうか。
「主であるお殿様に絶対服従で、己の命を投げ出す事すら厭わないタフガイ。」
「貧しくとも清く美しい魂の持ち主。」
こんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
まず武士道を知る時に、しっかりと押さえておかなければならない前提条件が二つあります。それは、武士道は時代によって変わるという事と、これぞ決定版という様な唯一絶対の決まりはないという事です。
日本誕生から現在まで、優れた武士は数多く誕生しました。織田信長、武田信玄、上杉謙信など、様々な武将が活躍をしています。しかし彼らは、武士道で一括りに出来るほど、単純な人物ではありませんし、その哲学や思想も異なります。
武士道とは、過去に活躍した様々な武士の生き様や思想や哲学を学ぶものと考えてください。
本連載で解説していく武士道は、私が武術の修行や指導で培った哲学や、書物や文献で習得した思想を元に解説をしていきます。
そして、それは現代に生きるビジネスマンにとっても、まさに必須のスキルである事が分かります。
現代、侍や武士は姿を消し、合戦も無くなりました。しかし武士はビジネスマンに姿を変え、合戦は会社に姿を変えました。
現代に生きるビジネスマンも、己のビジネススキルを武器に、社会で戦う武士と言えるのです。
士とはもともと男性を指す漢字でしたが、現代における士業は当然女性もいます。その意味で考えると、現代においては女性であっても社会で戦う武士と言えます。
そんな現代で戦う全てのビジネスマンに、武士の嗜みである「武士道」を学び、人生の糧として頂きたいと思います。